フリーランスの場合「単価を下げるくらいなら仕事を断るべき」理由

[カテゴリ]フリーランス生活

毎月一定のお給料をもらっていた会社員時代とは違い、独立してフリーランスになると、仕事の成果に対して収入が決まってきます。

webデザイナーやプログラマー、ライターなどの仕事の多くはクライアントから依頼を受けて制作する受託業務ですが、その仕事に対する報酬額は基本的に自らが決める見積もり金額によって決まります。

つまり、自分がする仕事の価値(対価)は自分自身で決められる(値段がつけられる)わけです。

個人でビジネスをする上での大きな魅力ですよね。

もちろん、いくら自分で決められるとは言っても、見積もりした金額が必ずしも取引先に了承してもらえるとは限りません。

その仕事に必要な工数や世間一般の相場に対して、あまりに高額であれば当然、値下げを要求されることもあります。

その場合は双方で折り合いのつく金額に再見積もりすることになります。

ただ、少なくとも自分はこれだけの対価を貰いたいと思う単価(金額)のボーダーラインを下回るような値下げ要求に対しては、フリーランスという立場の性質から考えると、その案件を断る(請け負わない)方がよいと私は思っています。

フリーランスの場合「単価を下げるくらいなら仕事を断るべき」理由

  • こなせる仕事量の上限が自分一人分しかない
  • 目先の売上より取引先とよい関係を維持することが重要
  • 双方が満足できるサービスと単価が理想的な関係を築く

 

こなせる仕事量の上限が自分一人分しかない

なぜかというと、フリーランスという立場においては、業務ができるキャパシティが基本的に一人分(一人工)しかないからです。

つまり、従業員をもつ企業なら、たとえ単価を下げても仕事量でカバーするというビジネスモデルもひとつの選択肢として考えられるわけですが、フリーランスの場合は、こなせる仕事量の上限がいわば従業員一人分(自分自身)しかないわけです。

なので、受注金額を下げて請け負ったところで、キャパ以上の仕事量が受けられるわけではなく、単に売上が減ってしまうだけなのです。

また、見積金額というのは基本的にその後の依頼に対する報酬額の基準ともなりますので、一度納得のいかない金額で受注してしまうと、その取引先には先々もずっとその単価で請け負わざるを得なくなります。

また、このような状況に陥ると、取引先との関係性もウィンウィンの関係ではなくなるわけなので、どうしてもギクシャクした状態になり、下手をすると取引先そのものを失ってしまう可能性もでてきます。

要するにフリーランスにとって「単価」は生命線なのです。

 

目先の売上より取引先とよい関係を維持することが重要

仕事というのは、お互いにある一定のプライドとかプロ意識みたいなものを確保できる(認めあう)状態でないとなかなかうまくいかず、よい関係も維持できません。

webデザインやプログラミング、執筆などの仕事は、時間的コスト以外にほとんどコストがかかりません。

なので、ついつい目先の売上につられて「まぁ、今回はいいか。」と安易に妥協して請け負ってしまうことがあります。

しかし、そうやっていくうちに、だんだんと自分の仕事に対して、満足のいく対価はもらえなくなっていきます。

「仕事を断る方が取引先との関係が悪くなるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、取引先が要求する金額が明らかに自分の工数やクオリティ、そして世間の相場に見合わない低い金額であれば、取引先の方も他に依頼する先を探すことは難しいわけです。

なので、結果的にはむしろ取引先の方が自分の首を絞めてしまうことにもなります。

だからそのような要求に対してはちゃんと「サイン」を示す必要があるのです。

もちろん「仕事を断る」とは言っても、ちゃんと理由を説明した上で理解と納得をしてもらうことは絶対に必要です。

少し勇気のいることではありますが、そうすることで相手からもこちら側の「ある一定のボーダーライン」みたいなものが理解してもらえるでしょう。

 

高いクオリティと安定した生産性が大前提

フリーランスの場合「単価を下げるくらいなら仕事を断るべき」という考えをお話ししましたが、これをするためには大前提として「高いクオリティと安定した生産性」が確保できる自身があり、取引先にも認めてもらっている必要があります。

制作物のクオリティが低かったり、制作スピードが遅かったり、納期が守れないといったレベルであれば、単価以前に仕事の依頼が来ないでしょうし、自分のプライド云々を言っている状況ではありません。

なので納得できる受注単価で仕事を受けたいのであれば、まずは自分が提供できるサービスレベルを取引先に認めてもらえる状態になることが先決です。

フリーランスという立場で仕事をしていると「提供するサービスレベル」と「受注単価」の組み合わせやバランスによって、仕事量や売上が違ってくるということを実感します。

私はこれこそがフリーランスの醍醐味でもあると思っています。

なのでこれからも、自分と取引先の双方が満足できる「制作物(サービス)」と「報酬金額(見積もり金額)」を維持できるよう心がけながら、理想的な関係を築いていこうと思っています。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連コンテンツ

意外と知らない「企業がフリーランスに仕事を依頼するメリット」

意外と知らない「企業がフリーランスに仕事を依頼するメリット」

世の中にはフリーランスという立場でwebデザイナーやエンジニアとして生活している方が数多くいます。 これから自分も独立してフリーランスのwebデザイナーにな…

青い海

フリーランスって実は「ブルーオーシャン」だと思う件

フリーランスしとて仕事をするようになって3年余り。 独立する前は、それなりに不安やリスクも感じてましたが、最近ふと思ったことがあります。 それは、 フリ…

経理がわからないフリーランス・個人事業主におすすめの会計ソフト『freee』

簿記・経理初心者でも簡単!おすすめクラウド会計ソフトfreee

簿記や経理がわからなくても大丈夫! フリーランス・個人事業主におすすめのクラウド会計ソフトfreee(フリー) フリーランス(個人事業主)になって大…

国民年金の2年前納がクレジットカード払い可能に!口座振替二年前納とどっちがお得?

国民年金の2年前納がクレジットカード払い可能に!口座振替二年前納とどっちがお得?

これまで国民年金保険料を2年前納する場合、納付方法は口座振替しかありませんでしたが、ついに平成29年4月分から現金とクレジットカード納付による国民年金保険料の…

結局なくならない仕事とは「機械化できない仕事」じゃない?

結局なくならない仕事とは「機械化できない仕事」じゃない?

私はフリーランスとしてwebデザイナーをやっていますが、デザイナーという職業をやっていてつくづく感じるのが、「デザインの仕事はなくならないだろうな」ということ…

過労で疲れた男性

webデザイナーが働く業界は離職率が高く過酷なのにブラック企業と呼ばれない理由

最近何かと話題に上がり、社会問題にもなっている「ブラック企業」。 ご存じの通り「ブラック企業」とは、長時間におよぶサービス残業や手当なしで休日出勤させるなど…

会社員とフリーランスで異なる労働時間と収入の関係

会社員とフリーランスで異なる「労働時間」と「収入」の関係

“何をして過ごすかを自分の意思で決められる時間”は1日にどのくらいありますか? 当たり前ですが1日が24時間であることは老若男女みんな同じですし、どんな生き…

フリーランスになるか悩んでいる男性会社員

フリーランスになりたい会社員の多くが独立しない理由

フリーランスになりたいと思っている会社員(独立希望者)はたくさんいるはずなのに、実際に独立してフリーランスになる人はほんの僅かです。 本当はフリーランスとし…

電卓の上にいるビジネスマン

【フリーランスの節税】自宅兼事務所なら家賃の一部を経費に計上しよう

自宅の一部を事務所として使用する場合、家賃の一部を経費に計上できます。 私自身もそうなんですが、フリーランスとして働くwebデザイナーやフリーライターなどの…

フリーランス・個人事業主の節税小規模企業共済制度

節税効果大!フリーランス・個人事業主の小規模企業共済まとめ

私は、平成25年2月から「小規模企業共済」という個人事業主やフリーランスのために作られた、退職金を積み立てる共済制度に加入しています。 私のようなフリー…