なぜWebデザイン制作を依頼する人は、やたらと高級感を求めるのか
[カテゴリ]デザイン
仕事でwebデザインを制作する際、依頼いただいたクライアントから希望のデザインイメージについて着手前にヒアリングをするのですが、この時なぜか「高級感を出して」と言われるケースが非常に多いんです。
もちろんその企業が高級な商品を扱っている場合は当然の要望なのですが、中には高級なイメージとはかけ離れた商品を扱っている場合でも「高級感」を求められることが少なくありません。
おそらくwebデザインのお仕事をされている方の多くが、「そうそう!」とうなずいているのではないでしょうか。
そこで、「もう少し親しみのある雰囲気の方がいいですよ…」とか「あまり高級にすると逆に敷居を上げてしまいますので…」などとデザインイメージの提案をしても、まるで言うことを聞いてくれないクライアントがほとんどだったりします。
さらにはデザイン制作後に「もっと高級感を!」「もっと高級感を!」と、再三にわたってデザインの修正を求められるケースもよくあります。
このような場合、最終的には商品とミスマッチなサイトデザインに仕上がってしまうのですが、幸か不幸かクライアントだけは大満足というのがオチなんです…orz
当然ながらデザインイメージには「高級感」以外にも「シンプル」「ナチュラル」「ポップ」など、Webサイト制作でよく使われるキーワードがありますが、なぜか「高級感」を求められる場合だけが頑なにこだわるクライアントが多いのです。
ではなぜクライアントはこれほどまでに「高級感」を求めてくるのか?
ということについて私なりに分析してみました。
クライアントがwebデザインにやたらと「高級感」を求めてくる理由(心理)
- 自社商品への自負
- 自社商品を客観視できない
- 高級感=ブランディングと思っている
自社商品への自負
クライアントにとって自社の商品やサービスは、当然ながら誰よりも思い入れが強く、たとえ嘘でも自信を持っておすすめしなければなりません。
そのような想いから自社の商品を少しでも「良い商品」として伝わるサイトデザインにしたいわけですが、デザインのプロではない一般企業の方にとってはどうしても「良い商品」=「高級」というイメージくらいしか思い浮かばず、結果として「高級なデザインにして!」となってしまうのです。
自社商品を客観視できない
webデザイン制作を職業にしていると普段から様々なジャンルのデザインをしているので、その企業の商品やサービスの“ウリ”(訴求ポイント)を客観的に判断できます。
しかし、クライアントにとってはその商品の開発段階から商品化するまで常に一番近い距離で関わっているので、どうしても客観視できず顧客目線になれないのです。
その結果、社内会議等で事前に決めたコンセプトなどに縛られてしまい、せっかくデザインのプロに依頼しているにもかかわらず、プロの客観的判断を軽視してしまうのです。
まぁ社内会議などで決めた内容は、デザインやwebマーケティングなどサッパリわからない上役のオジサン達が考えたものだったりする場合が多いわけで、皮肉にも大抵の場合は的外れなんですよね。
高級感=ブランディングと思っている
webサイトで企業の商品を訴求する手段のひとつとして「ブランディング」があります。
これは商品に対する魅力や共感、信頼などの価値を高めていくイメージ戦略で、最もデザインの力が活躍する部分でもあります。
この「ブランディング」ですが、何も「高級」なイメージを作り上げるだけの手段ではなく、「親しみ」「安心」「楽しさ」「お得感」といった様々なイメージ戦略があるわけで、その商品がもっとも支持される(売れる)ように判断していく必要があります。
しかし、一般的に「ブランディング」という言葉を聞くととどうしても「高級ブランド」をイメージしてしまう人が多く、結果として「ブランディング」というデザインマーケティング手法を「いかに高級にみせるかという方法」といった間違った解釈をしている方がとても多いのです。
まとめ
あくまでも私の経験から分析した内容でしたが、webデザイナーの方には共感できる部分が結構あったのではないかと思います。
このような状況に陥らないためにもWebデザイナーやwebディレクターの方は早い段階で“危険”を察知し、クライアントと丁寧なコミュニケーションをとっていく必要があるでしょう。
できればクライアントの口から「高級感」という言葉が出てくる前に先手を打ちたいですね。
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