webデザイナーが働く業界は離職率が高く過酷なのにブラック企業と呼ばれない理由

最近何かと話題に上がり、社会問題にもなっている「ブラック企業」。

ご存じの通り「ブラック企業」とは、長時間におよぶサービス残業や手当なしで休日出勤させるなど法令を無視した過酷な労働環境を強いる企業のことです。

このような企業の多くは離職率が高く、今後厚生労働省はブラック企業対策として離職率を公表していくそうです。

このブラック企業ですが、メディアで取りあげられている企業の多くは「外食産業」や「小売業」などで、web業界はほとんど名前が上がっていません。

しかし、web業界では当たり前の深夜残業はほとんどの場合サービス残業ですし、離職率も非常に高い業界です。

じゃあなぜWeb業界は過酷な労働環境にも関わらずブラック企業と呼ばれていないのでしょうか?

離職率が高いweb業界がブラック企業と呼ばれない理由

  • 過酷な現場だということがわかって入っている
  • webリテラシーが高い人は所属する環境に支配されにくい
  • スキルを活かして転職しやすい
  • 仕事が過酷なかわりに“自由”もある

 

過酷な現場だということがわかって入っている

web業界に限らず、デザイン業界や放送業界などの制作現場の仕事は、昔から深夜まで働いたり徹夜で制作業務をすることが当たり前の世界なので、そもそもこのような業界を目指して入ってくる人のほとんどが、入社する前から過酷な現場だということがわかって入ってきています。

だから深夜残業などは“想定内”なので入社してから「こんなつもりじゃなかった」「ブラック企業だ」といったことを思う人がわりと少ないわけです。

まぁハッキリ言ってこのような業界で働いていると時間の感覚がちょっとおかしくなってくるんですよね。

 

webリテラシーが高い人は所属する環境に支配されにくい

外食産業や小売業などの会社で過酷な労働環境に苦しみながら働き続ける人たちの中には、「他にできる仕事がない」とか「しかたがない」という気持ちを持っている場合が多いと聞きます。

そうするとどんどん視野が狭くなって所属する環境から精神的に支配されていくので、どんなに苦しくても“逃げ場がない”と思い込んでしまい、最悪の場合自殺する人まで出てしまうのです。

一方、web業界で働く人たちには過酷な労働環境でありながらあまりそのような諦めの意識がないように感じるのです。

これはおそらくWeb業界で働く人たちは常にWebやITといったグローバル環境に接しているため自然と視野が広くなり、所属する環境からも精神的に支配されにくいのだと思います。

なので最悪の場合でも「転職すればいい」と楽観的に考えられる人が多く“奴隷状態”になったりはしないわけです。

 

スキルを活かして転職しやすい

web業界は離職率が高いのですが、別にそれはブラック企業かどうかに関係なく離職率が高いのです。

なぜかというと、web業界はスキルが重要視される世界なので能力を活かした転職がしやすく、またフリーランスになる人も多く働き方の選択肢が広いのです。

なので「どんなに苦しくてもこの会社にしがみつかないといけない」といった固定観念がなく、その結果離職率が高くなっているだけなのです。

一方、競争が激化したチェーン系の外食企業などで働いている場合、いくらその会社で頑張っても業務のほとんどがマニュアル化されているため、他の会社でも活かせるスキルがあまり身につきません。

そのため転職もしにくく結果的には「どんなに苦しくてもその会社で働き続ける」か「ただ続けられずに辞める」のどちらかになるのです。

 

仕事が過酷なかわりに“自由”もある

前述したように、web業界では毎日夜遅くまでサービス残業をする過酷な会社は少なくないのですが、逆に“自由”な部分も多いのです。

特に制作現場で働く人であれば大抵の会社は服装や髪型などは自由ですし、仕事中の飲食もOKな場合が多いです。

どうしても長時間パソコンに向かわなければならない状況に配慮し、最近ではできるだけ働きやすい環境になるよう努力する会社も増えています。

このようにweb業界では「業界ならではの過酷さ」と「自由」のバランスをうまくとっている場合が多く、結果として社員から「ブラック企業」と思われることも少ないのです。

 

スキルを武器にやりたい仕事を自分の意思で自由に選ぶことが重要

ここでお話した内容はあくまでも私が今までの経験をもとに感じた傾向であり、一概にweb業界がブラック企業じゃないってことではありませんし、もちろん外食産業や小売業のすべてがブラック企業だということでもありません。

ただ私が考える「過酷なweb業界がブラック企業と呼ばれない理由」から見えてくることは、ブラック企業問題というのは企業側の問題も大きいでしょうが、同じくらい働く側の意識の問題も大きいのではないかということです。

これからの時代は、いかにしてやりたい仕事を自分の意思で自由に選べるかが重要になっていくでしょうし、その自由を手に入れて働き方をデザインしながら生きていくことが必要不可欠になるでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連コンテンツ

お金では買えないフリーランス生活の豊かさ(食生活編)

お金では買えないフリーランス生活の豊かさ(食生活編)

いままでこのブログでは、主にwebデザインやフリーランスwebデザイナーの仕事をテーマとして記事を書いてきましたが、これからは仕事以外のフリーランス生活につい…

webデザイナーとして独立する前に身につけたい経営者意識

Webデザイナーとして独立する前に身につけたい経営者意識

自分も近い将来、独立してフリーランスのwebデザイナーになろう!と思っている方に。 将来Webデザイナーとして独立しようと考えている方が独立する前に身につけ…

パソコンがあるデスク

webデザイナーに転職したい人がデザインセンスを身につける方法

「このデザインすごくセンスいいね」 「私はデザインセンスがないから」 こんな言葉をよく聞いたり言ったりしていませんか? webデザイナーへの転職を考えて…

「会社員生活が向いてない人」と「フリーランス生活が向いてない人」の違い

「会社員生活が向いてない人」と「フリーランス生活が向いてない人」の違い

Web業界などでは、ある程度の年数を会社勤めをして経験を積んだ後、フリーランスとして独立していく人が結構います。 現在、企業の中でwebデザイナーとして働い…

フリーランスの独立開業手続き・準備物まとめ

【保存版】個人事業主(フリーランス)の開業準備に必要なもの・手続きまとめ

私は2011年の3月に勤めていた会社を退職し、フリーランス(個人事業主)のwebデザイナーとして独立しました。 法人としてではなく、個人事業主として独立…

意外と知らない「企業がフリーランスに仕事を依頼するメリット」

意外と知らない「企業がフリーランスに仕事を依頼するメリット」

世の中にはフリーランスという立場でwebデザイナーやエンジニアとして生活している方が数多くいます。 これから自分も独立してフリーランスのwebデザイナーにな…

女性こそ「フリーランスとして働けること」が結婚後の人生において強みになる

フリーランスは女性にとって最強の働き方。結婚後も仕事を続ける方法

結婚や出産をした後も働き続ける女性は年々増加していると、ニュースなどでよく耳にしますよね。 昔のように、結婚して専業主婦として家庭に入る…みたいな考えの…

フリーランスの場合「単価を下げるくらいなら仕事を断るべき」理由

フリーランスの場合「単価を下げるくらいなら仕事を断るべき」理由

毎月一定のお給料をもらっていた会社員時代とは違い、独立してフリーランスになると、仕事の成果に対して収入が決まってきます。 webデザイナーやプログラマー、ラ…

フリーランスでも出来る仕事の種類(職種・職業)

フリーランスで稼げる仕事の種類(職種・職業)一覧

会社に勤めずフリーランス(自営業)でもできる・稼げる仕事の種類を一覧にしてみました。 職種・職業ごとに仕事内容や収入面などを簡単に記載しています。 も…

電卓の上にいるビジネスマン

【フリーランスの節税】自宅兼事務所なら家賃の一部を経費に計上しよう

自宅の一部を事務所として使用する場合、家賃の一部を経費に計上できます。 私自身もそうなんですが、フリーランスとして働くwebデザイナーやフリーライターなどの…